腰痛や膝の痛みはご相談ください
当院は、整形外科領域の疾患で最も多い訴えである腰痛や膝関節痛の治療には、特に力を入れておりますので、ご相談ください。
腰痛について
腰痛は、ヒトが二本の足で立つようになってから発症しやすくなったと考えられており(二本足だと、垂直方向に体重がかかるため、上半身を支える腰には特に負担がかかりやすい)、人類の宿命的な疾患とさえ言われます。全人口の2~3人に1人は、生涯に一度は腰痛に悩まされ、たいへん患者数の多い疾患です。
多くは一過性の腰痛ですが、急性腰痛(ぎっくり腰)を繰り返す人や、慢性的な腰痛に悩まされる人も少なくありません。
このように腰痛を起こしやすい人には、姿勢の悪さや、体幹や下半身の筋肉バランスの問題が関わっているケースが多いものです。
具体的には、
- 腹筋や背筋の力が低下している
- 背筋や下半身の筋肉の柔軟性が下がっている
- 腰のそりが強くなっている
- 腰を伸ばす筋肉の力が低下し、腰が曲がっている
――などがよく見受けられます。
こうした姿勢の悪さや筋肉のアンバランス、筋力の低下を改善するには「腰痛体操」が効果的です(腰痛の種類や病期によっては、体操を行うとかえって悪化する場合があります)。
※腰痛には、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、背骨の骨折、骨への細菌感染、がんの骨転移などをはじめ、胃潰瘍など消化器系の病気、尿路結石など泌尿器系の病気、子宮筋腫など婦人科系の病気、解離性大動脈瘤など循環器系の病気、神経障害性疼痛など種々の疾患が原因になっているケースもありますので、腰痛を起こしたら、一度は整形外科医に相談して、きちんと検査を受け、原因を調べておくことが大切です。
腰椎椎間板ヘルニア
椎間板は、背骨をつなぐクッション役をしています。その一部(髄核)が突出してきて、神経組織を圧迫して発症します。椎間板が加齢などにより変性し、断裂して起こります。症状としては、腰が強く痛み、下肢にしびれや痛みが放散したり、足に力が入りにくくなったりします。椎間板ヘルニアは、一つの原因で起きるわけではなく、重労働や喫煙等の環境因子や遺伝因子など、様々な因子が影響し合って発症すると考えられています。
診断は、診察所見と画像所見でつけます。X線検査だけではヘルニアの診断は不可能で、MRIが最も有用な検査となりますが、MRIで椎間板ヘルニアが認められても、症状が無ければ、治療の対象になりません。さらに詳しい検査としては、脊髄造影、椎間板造影、神経根造影、CTなどの検査があり、必要に応じて追加します。
痛みが強い時期には、安静にし、コルセットをつけたりします。また、消炎鎮痛剤の内服や坐薬、神経ブロック(神経の周囲に痛みや炎症を抑える薬を注入する)を行い、痛みをやわらげます。痛みが軽くなったら、牽引や運動療法を行うこともあります。
それでも改善しない場合や下肢脱力、排尿障害があるようなら、手術を検討します。
腰部脊柱管狭窄症
脊柱管とは、背骨に囲まれた管状の空間のことであり、脊髄神経が通るトンネルです。年をとると背骨が変形したり、椎間板が膨らんだりして神経の通る脊柱管が狭くなり、それによって神経が圧迫を受け、神経の血流が低下して脊柱管狭窄症は発症します。
腰部脊柱管狭窄症では、実は腰痛はそれほど強くなく、安静時にはほとんど無症状です。しかし、背筋を伸ばして立ったり歩いたりすると、太ももや膝から下にかけて、しびれや痛みが生じ、歩きづらくなります。
診断にあたっては、X線検査である程度の推測ができますが、より詳しく診断するためにはMRIや脊髄造影などの検査が必要になります。
治療としては、リハビリテーション、コルセット(装具療法)、神経ブロックや脊髄神経の血行を改善する薬などによる方法があります。歩行障害が進行し、日常生活に支障が出てくるようなら、手術を行うケースもあります。
膝の痛みについて
膝の痛みをもたらす疾患として特に多いのが、変形性膝関節症です。膝関節のクッション役をしている軟骨が老化によりもろくなって磨り減り、そこに筋肉の衰えが加わることによって軟骨への負担が増加し、痛みはさらに強くなります。
変形性膝関節症
膝関節の軟骨が磨り減り、関節炎や変形が生じて、膝の痛みと水が溜まるなどの症状が現れる疾患です。
初期では立ち上がり、歩き始めなど動作の開始時のみに痛み、休めば痛みは消えます。
しかし、だんだんと正座や階段の昇り降りが困難になり、末期になると、安静時にも痛みがとれなくなって、膝関節の変形も目立ってきます。また、膝をピンと伸ばして歩くようなことも困難になります。
原因としては肥満や遺伝素因も影響しますが、主なものは関節軟骨の老化であり、年齢とともに増加します。
また骨折、靱帯や半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎などの感染の後遺症として発症することもあります。
変形性膝関節症の治療
痛み止めの内服薬や外用薬を使ったり、膝関節内にヒアルロン酸の注射などを打ったりして治療します。
また、太ももや膝まわりの筋肉を鍛えて膝関節を支える力を強くすることが大切です。
さらに関節可動域改善訓練などの運動器リハビリテーションを行ったり、膝を温めたりする物理療法を併せて行います。
足底板(靴の中敷き)や膝装具を作成して、治療の一助にすることもあります。
このような治療でも治らない場合は、手術療法も検討します。
手術療法には、関節鏡(内視鏡)手術(膝の中にカメラを入れて骨棘(こつきょく:骨のとげ)を処理する)、高位脛骨骨切り術(骨を切って変形を矯正し、膝の内側にかかる負担を軽くする)、人工膝関節置換術(変形した部分を人工の部品で置き換える)などがあります。
※ほかに、前十字靱帯損傷や半月損傷など、スポーツ外傷・障害による膝の痛みもよくみられます。こうしたケースについてもご相談ください。